ディズニーは、時として何かの「はずみ」で良質のジュブナイル映画を作ることがある。
ディズニーらしからぬ、ほの暗い感じのファンタジー「何かが道をやってくる」(秀作である)と同様、この作品もディズニーの常の色合いとは少し違う映画である。
11才のジェスの家は貧しい。しかも、他のきょうだいは女ばかり4人。
学校では、いじめに遭うし、絵を描くことが好きという以外特に取り柄のない彼は、毎日うっ屈した日々を送っていた。
そんなある日、ちょっと風変わりな同い年のレスリーという女の子がとなりに引っ越してくる。
行動的なレスリーは、ジェスを殻から引っぱり出して、森の奥にふたりだけの架空の王国「テラビシア」を創りはじめたのだった。
森の中では、ふたりの空想が具現化したかのようなシーンが登場するが、それはあくまでもふたりの心の中だけの世界だ。
その意味では、これはファンタジーのように見えて実はファンタジーではない。
やはり、少年と少女の成長の物語なのである。
やがて、ふたりの物語は、唐突な悲劇によって突然断ち切られてしまう。
そして、ジェスは…。
ナルニア国物語のような、いかにもお子様向けといったディズニーファンタジーとは一線を画した佳作であると思う。
いかにもディズニーといったラストシーンの描き方は、残念ながらやはりちょっと蛇足ではあるが。
「何かが道をやってくる」にしても「テラビシアにかける橋」にしても、製作がディズニーでなければ、もっと傑作になったろうに、と言ったら言い過ぎだろうか…?