「THE 有頂天ホテル」の元ネタである「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ)をようやく見た。
映画のタイトルと、「グランドホテル形式」という映画のスタイルのもとになった映画、ということは知っていても、映画そのものを観た人は案外少ないようだ。
ベルリンのグランド・ホテルに、余命いくばくもないといわれた初老の男や、「男爵」と名乗る借金に追われる男、美人だが貧乏な速記者の女、彼女が雇われた破産の瀬戸際に立たされている会社の社長、下り坂にさしかかってノイローゼぎみのプリマドンナ等々、さまざまな人間がつどい、次第にかかわり合ってゆく。
まあ、その辺の話の流れは、当然のことだが 「THE 有頂天ホテル」と同じである。
「THE 有頂天ホテル」を、ご覧になった方なら、ああ、この役はこの映画のこの役を置き換えただけだなというのがすぐに判る(三谷君、ちょっとずるいよ。まあ、いいんだけどさ)。
ただ、映画自体は、コメディータッチではあるものの、こちらの方がかなり辛口な人生を描いている。「THE 有頂天ホテル」のように、ドタバタ喜劇でちょっとハッピー、とはなっていない。
その辺は、見る人によって好き嫌いは別れるんだろうけれど。
すごい傑作、という映画ではないが、個人的には、こちらの方が「THE 有頂天ホテル」より、ずっと味があって面白かった。
(古い映画ばかりだが、見逃している名作を次々出してくれる500円DVDは、まことにありがたい)