「でんき館・原田芳雄追悼特集にて」 〜10月2日まで上映
まさに、今。にドンピシャの映画。
原作は、ななななんと田原総一朗(それほど驚くことでもないか。読んでないので、どの程度原作が活かされてるのかも分らないし)。
とにかく、福島原発の隠ぺい体質をこれでもかとえぐった作品。
ただ、主人公の原田芳雄君は、ふだんは女に貢がせて食ってる単なるチンピラやくざなので、かっこよくその隠された秘密を暴き出す、といことにならないのは歯がゆい話なのだが…。
ある日、福島原発の見える浜辺に、男女の心中死体が打ち上げられる。
だが、そのニュースは、何故か新聞にも取り上げられぬまま過ぎてゆく。
そこにやって来た坂田は、ヒモ家業が専門のチンピラやくざ。
食いぶちにしていた女、青葉のぞみが行方不明になって、故郷まで探しにやって来たのだ。
だが、実家を訪ねても、父親(浜村純)も妹のつばさ(風吹ジュン)も兄(石山雄大)も口をつぐんでしまう。
そんな坂田に目をつけたのが、左遷でここの支所に飛ばされてきていた新聞記者の野上(佐藤慶)。
坂田を使って、原発内で起こったらしい事故の真相をスクープして、本社に復帰しようという腹だ。
のぞみの行方をつかみかけた坂田は、地元のやくざに追われつつ原発に探りを入れはじめたのだが…。
全体的な出来としては、名作とか傑作というところまでは達していない感じだが、とにかく原発にまつわる話が、今見ると、まさに今日を予想して描いたとしか思えないような展開になっている。
もちろん、御用学者(岡田英次)が出てきて、佐藤慶演ずる新聞記者に「チャイナアクシデント(いわゆるチャイナシンドローム)という言葉は、ブラックジョークとして私が日本に紹介したのだが、こんなふうに広まってしまうとは。そんな事故は、一軒の家が火事になって東京が丸焼けになるような確率」などと言って丸め込もうとする。
田原総一朗、昔はなかなか鋭い視点も持っていたのだなあ。
Wikipediaに「ドキュメンタリータッチで映画化」と書かれているが、これ書いたひと見てねえな…。
確かに、福島原発の受付に原田芳雄がアポ無しで乗り込んで追い返される場面は挿入されているが、ドラマにもなにもなっていないカットで、ご愛嬌みたいなもの(まあ原発の閉鎖性を強調するためだろうが、原発(に限らず、どんな企業でも)にいきなりカメラ持って押しかけたら、秘密が無くても同じ対応をされるだろう)。
これで、ドキュメンタリータッチで、と言われてもねえ。
とにかく、DVDも出ていない作品なので、お近くで上映されることがあったらぜひ一度ご覧になることをおすすめする。
07年に亡くなった、怪しげな山口小夜子もたっぷりご覧になれます。