「南極大陸」 かんそう文
主人公倉持岳志を演じる木村拓哉が、どう見ても終戦直後の昭和男に見えない(演技に関しては、中居君ほど根性が座ってないのね、彼)、というのはまあ枝葉末節なのだが…。
とにかく全体に大ざっぱな組立の話でした。
ドラマを盛り上げるために、いろんな困難を南極観測陣の前にぶつけてくるわけだが、なんだか、その難問が何となく都合よく解決していってしまうようにしか見えない。
国からの予算が出ない…貧しい子供たちの募金がキッカケで金が集まりはじめ、ついには国も動く。
まあ、この辺は実際新聞のキャンペーンに応えた子供たちを初めとした募金活動があったわけだが、どうも、無理やりドラマチックに話を盛り上げようとして脚色が上滑りしている。
そんな感じが全編に漂っていて、エピソードのひとつひとつがダイジェストを積み上げただけのように見えてしまうのだ。
第1回の最後に、宗谷は出港までたどり着くわけだが、これだけのエピソードを詰め込むには、いかにも尺が短すぎた。
主人公だから、というのは仕方ないとしても、木村拓哉が、ひとりで難問を何もかも解決して行ってしまうように見える脚本は、この手の実録ドラマとしては、白ける要素にしかならない。
綾瀬はるかの揺れる胸だけでは、ドラマは持たんぞ。
これだけの大ドラマを展開するのなら、ひとつひとつのエピソードをもっと丁寧に描いて、ゆっくり時間をかけて放送して行けばいいものを…。
渡鬼も終わったことだし。