塩尻の東座の「
FROM EAST上映会」で「かもめ食堂」のレイトショーを見て来た。
「フィンランドのヘルシンキに「かもめ食堂」というちいさな日本食堂が開店した。
経営者は、日本人女性のサチエ(小林聡美)。その店にはいっこうに客が訪れる様子がない。だが、サチエはあまり困っているようにも見えない。
そんなある日、店にひとりのフィンランド人の青年が入って来て、「ガッチャマンの歌詞を教えて欲しい」と言い出した。彼は、いわゆるアニオタであったのだ。
歌詞を思い出せないサチエの頭のなかにそのことがいつまでもくるくると回転している。
それが、きっかけで、サチエはフィンランドに遊びに来たミドリ(片桐はいり)と知り合い、そこへ、もうひとりの日本人マサコ(もたいまさこ)が加わって、お話は転がってゆく。」
小林聡美は、「転校生」のときから大好きな女優なのだが、今回もいい味を出している。
よく、自然体というけれど、ほんとうに自然体に見えてしまう演技のできる役者はそうそういるものではない。
「自然体の演技がうまいなあ」と見る側に感じさせているうちはまだまだである。
何も考えずに見ていて、「ああこの人はこういう人なんだ」と納得させてしまうところが小林聡美にはある。
片桐はいりも、くどくなり過ぎず面白いし、もたいまさこの「さりげない怪演」もお見事である。
登場人物のバランスが、実に絶妙なのだね。
なんとも、気持ちのいい映画だ。
ここに大げさなドラマはない。小劇場の舞台にぽんと置いても、そのまま面白くなりそうなお話ではある。
だが、そこにフィンランドの空気感がなければ、この作品はここまで面白い味にはならなかっただろう。
映画ならではの醍醐味はこんなところにもある。
※「FROM EAST上映会」=「
東座」で合木梢さんが主催する、毎月1週間のレイトショー(調整がつけばモーニングショーも)。
ふだん、一般館ではなかなか見られない上質な作品が見られるので、映画ファンにはありがたい会である。