「怪物映画」としても面白いが、それ以上に「家族」の物語としてよく出来た映画だ。
「パク家の長男カンドゥは、父親の営む売店の店番をしながら居眠りばかりしている大分落ちこぼれ気味の男。
大卒の弟や、アーチェリー選手の妹がいるが、二人とももうひとつぱっとしない人生を送っている。
カンドゥは妻にも逃げられ、中学一年のヒョンソというしっかりした娘だけがパク一家の希望の星だ。
そのヒョンソがカンドゥの目の前で怪物にさらわれた。
残された家族は、力を合わせて彼女を救うべく立ち上がるのだが…。」
突っ込みどころも多いけれど、最後まで面白く見られる出来だった。
かなり悲惨な状況なのに、笑いの小ネタがちりばめられていて、笑ったものかどうか戸惑うことも多かったが…他の作品を見ていないので、ポン・ジュノ監督が元々そういう作風なのかどうかは知らないが…すなおに笑った方が勝ちかもしれない。
ラストのせつなさには、他の展開もあったかな?という気もするが、まあ、そこは監督の決めることだからなあ…。
「パトレイバー」のパクリだ何だと騒いでる向きもあるようだが(確かに、怪物のデザインとそれが出現するための設定はよく似ているが)、映画全体を通してみれば、物語の本質は全く別のもだということは、そう頭をひねらなくても分かる程度の類似だ。
わたしなぞ、むしろ、日本のアニメより、「エイリアン2」のリプリーとヒョンソが重なるイメージの方が強かった。
他の作品からインスピレーションを得て出来た映画なんて数えきれないくらいあるわけで(というか、映画というものの歴史を考えれば、そうでない作品の方が希有なくらいだろう)、この騒ぎにはもっと他の感情が絡んでいるように見えて仕方ない。
映画を映画として楽しめないひとには、お気の毒に、というしかないが。