ぽつりと、遊園地の片隅にあるブランコ。
わたしが子どものころからあるブランコだ。
座席が斜めになっているので、滑り落ちそうであまり乗り心地は良くなかったな。
遊園地の中を見渡しても、ブランコはこれひとつきり。
しばらく前に、危ないからということで、鎖でぐるぐる巻きにされていた、向かい合いで乗るベンチ型のブランコはとっくに姿を消していたのだが、ひとり乗りのごく普通のブランコも見当たらない。
いつの間にか、鉄棒やつり輪もなくなってしまった。
あの、球形で、ぐるぐる回るやつも見えない。
昔から残っているのは、あとはこの波形のすべり台とジャングルジムとシーソーくらいか。
ほかの遊具は、すべり台系統がほとんどだ。
みんな、曲線の多い、角の丸っこいものが増えた。
色はカラフルだから、一見華やかに見えるけれど、遊び道具のバラエティーとしては、かなり少なくなってしまったのではないだろうか。
使うと危険な遊具は、それはなるべく改善したり減らした方がいいのは確かだが、危険とも思えないようなものまでなくなって行くのは、やはり寂しい。
どんなに安全な遊具を作っておいても、子どもは、大人の思いもつかない方法でそれを利用する。
遊具ばかりを丸っこくしても、子どもの冒険心までは削り取れない。
危険を回避して冒険する術を、伝えて行くのが大人の役割だろう。
それが子どもというもの。
それが大人というもの。